悠希会 潰瘍性大腸炎ん
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潰瘍性大腸炎とは

治療

潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜に炎症が起こり、潰瘍やびらん(ただ れ)ができる病気です。炎症は肛門に近い直腸から始まり、ひどくなるとその奥の結腸に向か って、連続的に広がっていきます。この腸に起こる炎症のために、患者 さんは度重なる下痢や粘血便 (血液や粘液、膿の混じった軟便)に悩まさ れまず。病状は、よくなったり悪くなったりを繰り返し、患者さんは長期間にわたって病気とつきめうことを余儀なくされます

病変の範囲による分類

炎症が肛門付近から結腸のどの辺りまで広がっているかによって、以下の3つのタイプに分類されています。

潰瘍性大腸炎

病期による分類

活動期・・・血便があり、大腸内視鏡検査で粘膜に出血が認められ、びらんや潰瘍のた めに腸管壁の血管の様子が見えなくなっている状態

緩解期・・・血便がなくなり、大腸内視鏡検査でびらんや潰 瘍が消えて、血管が透けて見えるようになった状態

活動期と緩解期を繰り返す

潰瘍性大腸炎は、よくなったり(緩解期)悪くなったり(活動期・再燃)を繰り返す慢性の病気です。いったん症状がおさまっても、しばらくして炎症が再燃することはめずらしくありません。潰瘍性大腸炎の患者さんは、この活動期→緩解期と いうパターンを繰り返しながら、10~30年という長い期間にわたって病気 とつきあっていく方がほとんどです。

臨床経過による分類

長期的な経過をみると、潰瘍性大腸炎の患者さんは、緩解と再燃を繰 り返す方がほとんどのようです。下痢や粘血便から始まった潰瘍性大腸炎は、治療を受けることで軽快しても、しばらくして炎症が再燃する、ということが起こってきます。そして、緩解→再燃、再燃→緩解というパターンを繰り返し、長い期間にわたっで慢性の経過をたどります。

潰瘍性大腸炎

臨床的重症度による分類

潰瘍性大腸炎の重症度には、軽症中等症重症の3つがあります。

重症度の分類は治療の方針を決めるにあたっての目安となるものです。
軽症 ・中等症の場合は通院しながら薬物治療を、重症の場合は入院して治療を行います。

軽症・・・下痢の回数が1日4回以下、ときに血便を認める以外は、全身症状も含め、とくにこれといった症状がみられないものをいいます。

重症・・・6回以上の下痢、粘血便、腹痛がみられ、そのほかにも、発熱や頻脈、貧血など、全身にわたってさまざまな症状が起こっている場合をいいます。

中等症・・・これらの中間。

潰瘍性大腸炎

発症の原因

潰瘍性大腸炎は、厚生労働省の特定疾患調査研究班により病気の研究が進められていますが、なぜ病気が起こるのか今だに原因がはっきりと分かっていません。これまでに腸内細菌の関与や免疫機構が正常に機能しない自己免疫反応の異常、あるいは食生活の変化の関与などが考えられています。潰瘍性大腸炎は、病気が起こる原因がはっきりしないために、手術で 腸を切除する以外、根本的に治ず方法はまだみつかっていません。その ため、薬物治療によって、症状が悪化しないように、できるだけ再発しないように、対症療法が行われているのが現状です。

患者数

潰瘍性大腸炎は、もともと欧米に多く、日本では以前は、ごくまれに しかみられない病気でした。それが、1980年代から増え始め、ここ10年で急増しています(図)。

潰瘍性大腸炎

発症年齢

発症年齢のピークは男性で20~24歳、女性25~29歳にみられますが、若年者から高齢者まで発症します。男女比は1対1で性別に差はありません。

長期的にはがんの合併に注意

潰瘍性大腸炎の患者さんは、長期的にみると、大腸がんを合併する可
能性が高くなります。現在、潰瘍性大腸炎の患者さんは約57,000人いま
すが、そのうち200人以上のがんの合併が報告されていまず。
ただ、すべての患者さんががんになりやすいというわけではありまぜん。
がんを合併する患者さんには共通点がありまず。まず、病変の範囲が広
く大腸全体が侵されているようなタイプの患者さんであること、そし10~
20代の若い頃に発症し、その後よくなったり悪くなったりを繰り返し
ながらI0年以上経過しているということです。合併率は罹病期間が長く
なるほど上がり、発症後10年以降では、健康な人の4~7倍の確率でがん
を合併するといわれています。
大腸がんは初期には自覚症状がほとんどなく、症状が出ても血便のよ
うに潰瘍性大腸炎の症状と重なるので、気づくのが遅れがちです。です
から、早い段階で発見・治療できるように、潰瘍性大腸炎が発症して7~
10年経ったら、たとえ緩解期であっても、1年に1度は内視鏡検査を行う
ことをおすすめしています。
現在では、異型上皮という前がん状態を指標に、早期にがんのハイリ
スク群を発見することが可能となっています。

発症の原因はわかっていない

潰瘍性大腸炎は、厚生労働省の特定疾患調査研究班により病気の研究が進められていますが、
なぜ発症するのか、その原因はまだはっきりしていません。
現在、有力視されているのが、免疫説です。われわれのからだには、外
から異物が侵入してきたときに、これを排除するしくみが備わっていま
す。これを免疫とりいます。腸管の粘膜にも、免疫のしくみが働いています。
潰瘍桂大腸炎の患者さんでは、腸管粘膜における免疫システムに
異常が生じているために、病気が起こっているのではないか、と考えられ
ているのです。

腸管粘膜の免疫システムに異常が生じる

からだの表面が皮膚でおおわれ、外界からの異物(抗原)の偉人を防い
でいるように、消化管の内側は粘膜でおおわれ、異物の侵人を阻止して
います。
消化管の粘膜は、食物由来の抗原や食物といっしょに入ってきた微生
物、また消化管内に棲みついている細菌など、常に異物にさらされた状
態にあります。そのため、粘膜自体が防御壁となって物理的に異物を遮
断するほか、異物が粘膜の中にまで侵入しようとすると免疫反応が起こ
り、白血球の一種であるマクロファージやリンパ球などが集まってきて、
これ乞攻撃したり、無害化したりして、排除するしくみが働きます。つま
り、消化管における免疫システムでは、粘膜が非常に重要な役割をばた
しているわけです。
食べ物は、もとはといえば消化管にとっては異物ですが、細かくこな
れ、胃酸や消化酵素で殺菌作用を受けるという過程を経て、からだの中
に取り込まれていきます。そして、栄養分や水分などからだに必要なもの
だけが、腸管の粘膜から吸収されます。
また、腸管の内部にば、ビフィズス菌や大腸菌など、百種類以上もの
細菌が棲みついていまず。そして、互いにバランスを保ちながら、食べ物
のかすの分解・発酵、便の形成などに関わっています。
腸管の粘膜では、当然これらの食物抗原や腸内細菌に対する抗体も作
られていますが、通常は免疫寛容という機構が働くため、いちいち反応
しないようになっています。その一方で、病原性をもつ微生物が外から入
ってくると、ただちに免疫反応が起こり、異物の排除が行われます。
このように、腸管粘膜では、必要なものだけ取り込んで、それ以外の
必要ないものや有害なものに対しては、粘膜部分でさまざまなかたちで防
御するという、非常に巧妙な免疫システムが働いています。
ところが、何らかの理由で腸管の免疫システムに異常が生じると、リ
ンパ球は腸管を守ってくれている自分自身の粘膜をも異物とみなし、こ
れを攻撃して傷つけるようになります。その結果、粘膜に炎症が起こっ
てきまず。同時に、腸内細菌のバランスも崩れ、炎症に対して有害に働
くようになります。さらに、活性化した白血球は炎症を持続させる化学
物質を放出するため、炎症ばなかなかおさまりません。
潰瘍性大腸炎の病態の背景には、このような免疫システムの異常があ
るのではないか、と考えられています。実際、潰瘍性大腸炎の患者さん
では、大腸粘膜に対する自己抗体が高率に認められています。また、腸
内のある種の細菌は、大腸粘膜と共通の抗原(蛋白)をもっていることが
みいだされており、これが誤った免疫反応に関与しているのではないか、
ということもいわれています。
自分自身のからだの構成成分を非自己、すなわち異物とまちがえて攻
撃することによって起こる病気を、自己免疫疾患とよんでいます。潰瘍
性大腸炎も、この自己免疫疾患のひとつであるといわれています。

免疫説は決定的ではない

ただ、この免疫説も決定的なものとはいえません。というのは、いった
ん炎症がおこっている場で免疫システムに変化が生じていることは、この
説でうまく説明することができるのですが、そもそもなぜこうした免疫の
異常が起こるのか、潰瘍性大腸炎の発病のメカニズムについては、やは
りわかっていないからです。
潰瘍性大腸炎は、免疫システムも含め、それまで何ともなかった健康
な人に突然発病します。そして、現時点では、免疫の異常が発病に直接
関与、しているという証拠はみつかっていません。炎症が起こる根本の原因
については、依然として不明な点が多いのです。免疫の関与が大きいこ
とはたしかであるものの、潰瘍性大腸炎はいまだに原因不明の病気であ
るといわざるをえないのです。

日本では難病(特定疾患)に指定されている

原因不明で、治療法が確立しておらず療養が長期にわたり、全身合併
症をともなう、などの点から、潰瘍性大腸炎はI973年より厚生省特定疾
患治療研究対象疾患、いわぬる難病の1つに指定されています。
潰瘍性大腸炎の患者さんは、保健所で所定の手-続きをとれば、特定疾
患医療給付制度が適応モれ、医療費の援助を受けることができます。
なお、これらの公費負担制度は、申請手続きをした時点から有効とな
り、それ以前に受けた医療費はついては適用されまぜん。ですから、潰瘍
性大腸炎であると診断がついたら、できるだけ早く手続きをとることをお
すすめします。

病気に対する正しい知識をもつことが大切

潰瘍性大腸炎は、がんを合併するか、重症になる以外、基本的に命に
かかわるような病気ではありません。ただ、原因がはっきりしないので、
再発を確実に予防したり、病気を根木から治したりする方法は、残念な
がらまだ確立一していまぜん。そのため、患者さんは、程度の差はあれ、一
生この病気とかかわっていかなければなりません。患者さんにとっては、
肉体的につらいだけでなく、精神的にも大きな苦痛だと思います。
このような状況の中で、潰瘍性大腸炎という病気とうまくつきあって
いくためには、病気に対する正しい知識をもつことが必要不可欠です。病
気についてわかっていること・わかっていないこと、治療に必要なこと・必、
要でないことなどを、患者さん自信がきちんと理解しておくことが大切な
のです。そうすれば、自分の病気に対して、実際の病状以上に過剰に反
応することもなく、冷静・に状熊を把握することができるようになります。
長い療養生活の間には、病気がよくなったり悪くなったり、いろいろ
なことがあると思います。大切なのは、そのときそのときで必要とされる
ことを行い、必要でないことにはいたずらに煩わされないようにする、と
いうことです。そして、そのための判断基準を、医師だけでなく、患者さ
ん自身でももてるようにすることです。
先に述べたように、患者さんは軽症の方が多く、活動期がずっと続く
ということは少ないのです。また、病気をかかえているとはいっても、年
を追うごとに病状が徐々に落ち着いてくる患者さんがほとんどです。60
歳ぐらいになると、病気自体があたかも,燃え尽きてしまったかのように、
症状が消えてしまう人も多いのです。
病気とつきあいながら、ふつうの人とほとんど変わらない社会生活を送
っている方はたくさんいまず。また、あまりにも生活に支障をきたすよう
な場合には、手術をすることで完治します。このようなことも知ったうえ
で、病気を理解し、病気とうまく折り合いをつけていただければ、と思い
ます。